外  科

各 診 療 分 野 の 紹 介 ( 外 科 )

▼ 上 部 消 化 管

  • 上部消化管グループでは、食道、胃、十二指腸疾患を中心とした上部消化管の外科的治療を行っています。

悪性疾患

上部消化管の悪性疾患としては食道がん、胃がん、十二指腸がん等が挙げられます

  • 上部消化管の悪性疾患としては食道がん、胃がん、十二指腸がん等が挙げられます。十二指腸がんはごくまれな疾患ですが、 食道がんの罹患数はがんの中で第13位(男性6位、女性18位)、胃がんの罹患数は第3位(男性2位、女性4位)、を占める疾患です(図1:がん情報サービスのグラフ)。 小倉医療センターではがんの進行度や全身状態を考慮し、内視鏡的切除、腹腔鏡下手術、開腹手術を選択して行っています。
  • また、術後の病理組織診断に基づき、補助化学療法も行っています。 切除不能がんや再発がんに対しても、病状に応じて化学療法や放射線治療による治療を他科と協力して行っています。

図1:がん情報サービスのグラフ

図2:胃癌手術症例の写真

図3:化学療法の効果が認められた症例

粘膜下腫瘍

GIST等の粘膜下腫瘍に対し、外科的切除を主に行っています

  • GIST等の粘膜下腫瘍に対し、外科的切除を主に行っています。 こちらも術後の病理組織診断に基づく補助化学療法や、再発に対する化学療法を行うことがあります。

図4:GISTの切除写真

急性腹症

胃潰瘍穿孔や十二指腸潰瘍穿孔などの消化管穿孔や内ヘルニア嵌頓などによる急性腹症

  • 胃潰瘍穿孔や十二指腸潰瘍穿孔などの消化管穿孔や内ヘルニア嵌頓などによる急性腹症に対し、麻酔科協力の下、緊急手術等の対応を行っています。 近年では受診時の病状にも拠りますが、腹腔鏡下での手術や、単孔式手術というさらに創の少ない手術も行っています。

図5:食道異物の摘出写真

図6:胃穿孔の術中写真

良性疾患

  • 横隔膜ヘルニア
    横隔膜の欠損を通して腹腔内の臓器が胸腔内に脱出したものです。 成人では食道裂孔ヘルニアやMorgagni孔ヘルニア、外傷性などが挙げられます。 食道裂孔ヘルニアでは内科的治療を行うことが多いですが、 内科的治療に抵抗性のものや呼吸器・循環器系の症状を伴うようなものは手術の適応となります。 近年では腹腔鏡下での手術を行っています。

図7:胸写、CT 術前と術後 食道裂孔ヘルニア

図8:胸写、CT 術前と術後 Morgagni孔ヘルニア

  • 食道アカラシア
    下部食道括約筋の運動機能異常により食物の通過障害を来たす疾患です。 当科では薬物療法やバルーン拡張術での効果が得られなかった方に手術を行うことがあります。
  • 他の内ヘルニア
    傍十二指腸ヘルニア等のまれな内ヘルニアに対しても適応があれば手術による修復術を行っています。

図9:傍十二指腸ヘルニア

▼ 下 部 消 化 管

  • 下部消化管グループでは、主に大腸癌に対する治療を重点的に取り組んでいます。 癌は、1981年より我が国の死亡原因の第1位です。そして死亡率年次推移も依然右肩上がりであり、2007年には「がん対策基本法」が施行され、 2012年には「がん対策推進基本計画」が閣議決定され、癌治療はわが国における医療の最重点的課題とされています。 がん情報サービスによる最新がん統計からのデータでは、 大腸癌は、胃癌に次ぐ第2位(男女計、2011年)の罹患率であり、肺癌、胃癌に次ぐ第3位(男女計、2013年)の死亡率と報告されています。 2015年には罹患数では第1位、死亡数は第2位と予測され、肺癌、胃癌と共に3大固形がんとして癌治療の中心的な標的臓器であると考えられています。
  • 小倉医療センターにおきましては、腹腔鏡手術を中心とする手術治療、 さらには術後補助化学療法や切除不能進行大腸癌対する全身化学療法等、手術以外の治療方法にも積極的に実践しています。
  • 手術治療に関しまして重点的に力を入れておりますのは、術前の画像評価における血管処理、リンパ節郭清領域のプランニングです。 放射線技師の協力の下、術前のダイナミックCTイメージをziostation2(3D医用画像処理ワークステーション)によるソフトウェア処理により、 がんと血管の位置関係、患者一人一人の解剖のバリエーションを正確、かつ詳細に把握することにより、思わぬ出血を防止するだけでなく、 手術時間の短縮につながり、非常にクオリティの高い手術手技のレベルに到達することができました。 またここ5、6年にかけて、全大腸癌手術の約9割を低侵襲と言われる腹腔鏡手術を行い、 比較的早期である癌の症例には臍部に3cm程度の一つの術創で手術を行うReduced Port Surgeryを導入し、安全でかつ患者様方の満足度の高い手術の実践を行ってまいりました。 それに加え、2015年は拡大手術を積極的に試み、泌尿器科医師、産婦人科医師、整形外科医師とのコラボレートのもと、 2例の前立腺合併En-bloc直腸切断(切除)術、1例の仙骨合併En-bloc直腸切断術、 1例の子宮両側附属器合併En-bloc S状結腸切除術を施行し、 九州では大学病院も含めて切除不可能と判断するようなケースに対してもなんら合併症なく切除を達成し、Cureを誘導しています。
  • 大腸癌治療は如何にクオリティの高い手術を完遂したとしても、手術単独では再発のリスクを回避することはできません。 当センターでは再発ハイリスクステージII症例、ステージIII症例で80歳未満の患者様に対して、ガイドラインを遵守し、 積極的に術後補助化学療法、mFOLFOX6、CapeOXを行っています。 現時点では17名の患者様が術後補助化学療法を受けられており、有害事象の厳格なる観察のもと安全かつ有効でエビデンスレベルの高い治療を、 薬剤師との協力のもと患者様方への十分なる説明を行いながら提供しています。
  • また切除不能進行大腸癌に関しても積極的な全身化学療法を実施しており、現時点では29名の患者様が当センターでこの治療を受けられておられます。 この領域における化学療法の進歩は目覚ましく、2004年、米国食品医薬品局は切除不能進行大腸癌の治療薬としてセツキシマブ、ベバシズマブという分子標的治療薬を承認し、 2006年にもパニツムマブをいう分子標的治療薬を承認するに至りました。 その後、日本も含めた全世界にその承認は広がり、従来から使用されている殺細胞治療薬(いわゆる抗がん剤)、フルオロウラシル、イリノテカン、 オキサリプラチンに上乗せ効果がある根拠が次々に証明され、最新の第3相臨床試験では、生存期間の中央値が約30か月になりました。 抗がん剤をしていなかった「余命5か月」の時代から「余命2年半」の時代に突入しております。 癌ゲノム解析による個別化医療の推進により、今後は「余命3年」の壁を突破する時代は近く、 また話題の免疫チェックポイント阻害剤の効果が期待できる大腸癌ケースもあるという情報が報告されており、手術以上のエボルーションが期待されています。
  • 以上が大腸癌治療の現状と当センターでの取り組みの概要です。 上記のごとく大腸癌治療は下部消化管グループ単独で実施しているわけでなく、 他科の手術協力、放射線科技師、薬剤師、そして有害事象の監視だけでなく精神的なサポートを担う看護師等の統括的なチーム医療のもと成功しています。 2015年3月、日経新聞に掲載された実力病院調査におきましては、当センターは大腸がんの有力病院50に選出されまして、DPCに基づく年間入院数578を達成し、九州沖縄で第3位の実力となりました。 今後の展望としては、地域の中核病院との協力を第一に考え、お互いに切磋琢磨しつつ、 手術のクオリティの進化、個々のケースのBiological Featureを念頭に置きながら熱いモチベーションを失わずに臨床に取り組んで行きたいと考えています。
 

▼ 肝    臓

肝臓外科

肝臓の病気を専門とする放射線科医、肝臓内科医、肝臓外科医から構成される肝臓病センター

  • 当院には肝臓の病気を専門とする放射線科医、肝臓内科医、肝臓外科医から構成される肝臓病センターがあり肝疾患の治療にあたっています。 肝臓癌の治療法には手術、ラジオ波焼灼治療、肝動脈化学塞栓療法、薬物療法などがあります。 肝臓病センターでは、検査結果から個々の患者さんにとっての最適な治療方針を決定しています。 手術による治療が望ましいと考えられた患者さんを外科で担当しています。 当科で治療を行っている肝臓癌には肝細胞から発生する肝細胞癌、胆管から発生する肝内胆管癌・肝門部胆管癌、他臓器癌(主に大腸・直腸癌)からの転移性肝癌があります。 肝切除術は大出血と隣りあわせの難易度の高い手術です。 当科での肝切除は経験豊富な肝臓外科チーム(現在のチームで250例以上の肝切除を施行)が担当しています。 肝臓手術件数が多いため肝臓手術に用いる専門的な医療機器(超音波吸引装置、ベッセルシーリングシステム、コンピュター制御電気メスシステム等)を取り揃えています。 これらの最新鋭の手術機器を用いて安全で出血の少ない手術を行っているため、肝切除術でも輸血はほとんど必要なく、手術に関連した合併症も少ないです。 可能な症例には手術の傷が小さい腹腔鏡下肝切除術や胸・腹腔鏡下ラジオ波治療も行っています。 一方で大きな腫瘍や血管内に進展した腫瘍に対しては開胸開腹手術、Hanging maneuverによる肝切除、血管内腫瘍栓摘出、門脈切除再建などの高度な手術手技を用いて癌の根治を目指しています。 高齢肝臓癌患者さんに対しても全身状態が良ければ積極的に肝切除を行い良好な結果を得ています。 手術の翌日から水分摂取、術後2~3日目から食事を開始し、離床も術後の早い時期から進めることで早期に社会復帰できるように心掛けています。 その結果、ほとんどの患者さんが手術後約2週間で元気に退院されています。

腹腔鏡下肝切除術

当院でも新たに適応となりました難易度の高い術式に対しても腹腔鏡での手術を行っております

  • 最近では胆石、胃癌、大腸癌などに対して小さな傷で痛みの少ない腹腔鏡下手術が行われるようになり普及してきました。 しかしながら肝臓の腹腔鏡手術は難易度も高くごく一部の施設でしか行われていないのが現状です。 当院では患者さんに優しい腹腔鏡下肝臓手術に力を入れています。 平成27年度までは"腹腔鏡下肝部分切除術"と"腹腔鏡下肝外側区域切除術"しか保険診療では認められていませんでした。 本年度より腹腔鏡下肝切除術の保険適応が拡大されました。 これに伴いまして当院でも新たに適応となりました難易度の高い術式に対しても腹腔鏡での手術を行っております。 腹腔鏡による肝切除術を受けられた患者さんは痛みも少なく手術後1週間前後で退院され非常に満足されています。 現在まで当院で行った腹腔鏡下肝切除術では大きな合併症の経験はありません。

当科での肝切除症例


高齢者(81歳)肝細胞癌    前区域の大きな肝細胞癌

高齢者(81歳)肝細胞癌

  

前区域の大きな肝細胞癌


拡大左葉切除+尾状葉切除術    肝門部胆管癌手術

拡大左葉切除+尾状葉切除術


  

肝門部胆管癌手術

腹腔鏡下肝S6部分切除    腹腔鏡下肝S5部分切除

腹腔鏡下肝S6部分切除

  

腹腔鏡下肝S5部分切除術

腹腔鏡下肝左葉切除術    開腹と腹腔鏡の傷の違い

腹腔鏡下肝左葉切除術

  

開腹と腹腔鏡の傷の違い



▼ 胆嚢・胆管・膵臓

  • 当科では 胆石症、胆管結石症、胆のう・胆管炎、胆嚢ポリープ、慢性膵炎、膵石症などの良性疾患、 胆道癌(胆のう癌、胆管癌、十二指腸乳頭部癌)、膵癌などの悪性疾患に対する治療を行っています。

胆石症 / 胆のう炎

胆石症に対して腹腔鏡下胆嚢摘出術を行っています

  • 胆石症に対して腹腔鏡下胆嚢摘出術を行っています。 これはおなかに4ヶ所小さな穴を開けその穴からカメラや手術器具をいれて胆嚢を摘出する手術です。 傷が小さいため手術後の痛みも軽く早期に社会復帰が可能です。 胆嚢の炎症が軽い症例ではおへその部分を2cmほど切開して、この1ヶ所の傷だけで手術を行う単孔式の腹腔鏡下胆嚢摘出術も行っています。 一方、胆のう炎を合併している場合にはその程度に応じて抗生物質による治療や胆嚢ドレナージ(胆嚢に細いチューブを挿入し胆嚢内の膿や胆汁を外に出す処置)を行った後に手術を行っています。

胆管結石症 / 胆管炎

当院では この胆管結石症に対して手術ではなく内視鏡治療(カメラを飲んで行う治療)を主に行っています

  • 胆管とは肝臓でつくられた胆汁が十二指腸に流れていく通り道です。 ここに結石ができると黄疸(皮膚や白目が黄色くなる、尿が褐色になる)、肝機能異常、胆管炎や膵炎(腹痛や発熱を伴うことがある)など色々な症状が出現します。 当院では、この胆管結石症に対して手術ではなく内視鏡治療(カメラを飲んで行う治療)を主に行っています。 内視鏡をつかって十二指腸にある胆管の出口(十二指腸乳頭)を切開して広げます。 広げた後に石を胆管の中から取り除きます。 治療には数回の内視鏡が必要なことが多いですが手術をせずに治癒するため痛みや体への負担も少ない治療です。 この治療を行う際には痛み止めと鎮静剤を使用して行いますので寝ているうちに治療が終了することが多いです。 このほかに必要がある場合には胆管ドレナージ(胆管に細いチューブを挿入し胆嚢内の膿や胆汁を外に出す処置)を行うこともあります。

胆嚢ポリープ

当院では 血液検査、エコー、CT、MRIなどの精密検査が可能です

  • 胆嚢のポリープには治療の必要が少ない良性のものから癌までさまざまなものがあります。 当院では血液検査、エコー、CT、MRIなどの精密検査が可能です。 これらの検査を行い手術が必要かどうかを判断しています。 良性と考えられる場合には手術は行わずに経過をみていきます。 悪性の疑いがある場合でも可能であれば傷が小さな腹腔鏡での手術を行っています。

慢性膵炎 / 膵石症

当科では 内視鏡を用いて膵管内にステントというチューブを留置して症状を改善させる治療を行っています

  • 慢性膵炎や膵石症(膵臓に結石ができる病気)は強い痛みを伴う場合があり外科的な治療が必要なことがあります。 当科ではこのような症例に対して内視鏡を用いて膵管内にステントというチューブを留置して症状を改善させる治療を行っています。 また、内視鏡での治療が困難な症例には膵管と小腸をつなぐ手術(膵管空腸吻合術)も行っています。

悪 性 疾 患

膵がん / 胆道がん の外科治療

膵がんの外科治療

  • 手術の対象となる膵臓の悪性疾患には膵臓がん、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)の一部、粘液産生膵腫瘍(MCN)などがあります。 膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)の一部や粘液産生膵腫瘍(MCN)は内部に癌が合併していたり将来的に癌になるため治療が必要な疾患です。 手術が必要なものかどうかはいろいろな精密検査の結果から判断します。 病状を正確に診断するためにエコー、CT、MRI、内視鏡下胆管・膵管造影、超音波内視鏡、胆汁・膵液細胞診などの精密検査を用いています。 その結果を十分に検討し的確に治療方針を決定しています。 膵臓の手術は難易度が高く大出血や重篤な合併症が生じることがあります。 当院では複数の専門医による出血の少ない安全で確実な手術を心掛けています。 当院で膵がんに対して行っている主な手術は亜全胃温存膵頭十二指腸切除術、膵体尾部切除術です。
  • 亜全胃温存膵頭十二指腸切除術

  • 膵臓は膵頭部、膵体部、膵尾部の3つに分けられますが主に膵頭部にできた癌に対して行う手術です。 おなかの外科手術の中でも最も大きく難しい手術の1つです。膵頭部と十二指腸、下部胆管、胆嚢を一塊に切除します。 残った胃、上部胆管、膵体尾部と小腸をつなぎます。膵頭部の背中側には門脈という大きな血管があります。 膵がんはこの血管に広がることがしばしばあり、その場合には癌が広がっている門脈の合併切除再建も行っています。 当院での手術では出血が少なく輸血を必要としない場合が多いです。
  • 膵体尾部切除術

  • 膵体部、膵尾部にできた癌にたいして行います。 膵臓の体尾部と脾臓を切除します。この手術ではほとんど輸血は必要としません。 手術後には癌の再発を抑えるために抗癌剤の治療を半年間行っています。 また、再発が見られた場合にも抗癌剤治療を行っています。
  • その他にも膵頭部癌による黄疸に対しては内視鏡をもちいて黄疸を解除するステント留置治療や黄疸の原因である胆汁を体外に出してあげる穿刺胆汁ドレナージ治療、 手術による胆管バイパス手術も行っています。

胆道がんの外科治療

  • この領域の主な悪性疾患には胆管癌、十二指腸乳頭部癌、胆のう癌があります。 これらの疾患は確定診断、手術術式選択、実際の手術手技すべてが難しく専門性が要求されます。 病状を正確に診断するためにエコー、CT、MRI、内視鏡下胆管・膵管造影、超音波内視鏡、胆汁胞診などの精密検査を用いています。 その結果を十分に検討し的確に治療方針を決定しています。 これらの疾患に対する手術は胆管切除術、肝切除術、亜全胃温存膵頭十二指腸切除術など難易度が高いものが多いですが複数の専門医で出血の少ない安全で確実な手術を心掛けています。 進行した癌に対しては手術前の門脈塞栓療法なども併用して癌の完治を目指しています。 手術後の再発予防目的や再発時の抗癌剤治療も行っています。
  • 中下部胆管癌

  • 胆汁の通り道である胆管に発生する癌です。肝機能異常や黄疸で発見されることが多いです。 このような場合にはまず胆汁の流れを良くするために内視鏡を用いてステントというチューブを胆管に留置して治療を行います。 この治療で肝機能異常や黄疸が改善した後に手術を行います。手術の術式は癌の広がりや患者さんの体力を総合的に判断して決定します。 通常は亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を行う場合が多いですが胆管切除のみ行う場合もあります。亜全胃温存膵頭十二指腸切除術はおなかの手術の中でも大きく難しい手術の1つです。 膵頭部と十二指腸、下部胆管、胆嚢を一塊に切除します。 残った胃、上部胆管、膵体尾部と小腸をつなぎます。大出血や重篤な合併症と隣り合わせの手術ですが、 当院では複数の専門医による出血の少ない安全で確実な手術を心掛けています(肝内胆管癌や肝門部胆管癌の外科治療については肝臓癌の項目をご参照ください)。
  • 十二指腸乳頭部癌

  • 胆汁や膵液が十二指腸に流れ出てくる部分を十二指腸乳頭といいます。 この部分にできる癌が十二指腸乳頭部癌です。この癌も肝機能異常や黄疸で発見されることが多いです。 その他に無症状でも内視鏡検査で見つかる場合もあります。基本的な治療は中下部胆管癌と同じです。
  • 胆のう癌

  • 胆のうは胆管の途中にある胆汁を貯める袋です。卵くらいの大きさで肝臓にぶら下がっています。 胆のうの癌は無症状でエコーやCT検査で見つかる場合が多いです。 進行すると黄疸などの症状が出現します。 早期の場合はおなかに数ヶ所1cm前後の穴を開けて行う腹腔鏡手術のみで完治する場合があります。 進行すれば肝切除や胆管切除などが必要になります。

がんによって起こる黄疸に対する治療

  • 肝臓で作られた胆汁(黄色の消化液)は胆管を通って十二指腸に流れていきます。 膵臓癌や胆道癌(胆管癌、十二指腸乳頭部癌)にかかると胆汁の通り道である胆管が塞がれ、胆汁が血液中に流入するため皮膚や眼球が黄色くなり黄疸が起こります。 このような黄疸は胆管の閉塞が原因で起こるため閉塞性黄疸といいます。 黄疸を伴った癌の治療ではまず、黄疸を改善させることが大切です。 閉塞性黄疸の治療法としては、内視鏡を用いて胆汁を十二指腸に誘導する方法(内ろう化)とエコーを用いて胆嚢や胆管に細いチューブを留置し、 胆汁を体外に誘導する方法(外ろう化)があります。 最近は内視鏡を用いた内ろう化を行うことが増えてきています。
  • 内視鏡を用いる方法(内ろう化)

  • 患者さんに口からカメラを飲んでもらい、カメラを十二指腸の胆汁の出口である乳頭部まで進めます。 十二指腸乳頭部を小さく切開(EST:乳頭括約筋切開術)した後に閉塞部にストローのようなステントチューブを留置する方法とメタリックステント(金属ステント)を留置して胆管を広げる方法があります。 この治療を行うことで胆汁が腸に流れるようにします(内ろう化)。 チューブステントは内径が比較的狭いため詰まる可能性がありますが、詰まった場合でも入れ替えることが可能です。 メタリックステントは内径が大きいため比較的長期間持ちますが、入れ替えが出来ないため一旦詰まるとステント内にもう一本ステントを留置する必要があります。
  • 内視鏡を用いて胆管内に金属ステント(矢印)を留置
    内視鏡を用いて胆管内に
    金属ステント(矢印)を留置

    エコーを用いる方法(外ろう化)

  • 内視鏡でステントが留置できない場合や、胃の手術を以前行った患者さんでは、十二指腸までカメラが届かないことがあります。 この場合、エコーを用いた方法で治療を行います。 これはエコーで見ながら肝臓内の胆管や胆嚢に針を刺しチューブを胆管内(胆嚢内)に留置する方法です。 留置したチューブを通って胆汁を体外に出してあげます(外ろう化)。 この方法では胆汁を貯めるためのバッグ(一日300mlから500ml位)を下げておかねばならず、入浴などが制限されるのが欠点です。 一旦チューブを留置した後に閉塞部にメタリックステントを留置することも可能です。 メタリックステントを留置できれば胆汁は腸に流れるためチューブやバッグが不要となります。
  • 内視鏡を用いて胆管内に金属ステント(矢印)を留置
    エコーを用いて胆管内に
    チューブ(矢印)を留置

▼ 乳    腺

  • 現在、乳癌は日本人女性の罹患する癌の第1位となっています。 その数は20年前の約2倍となり、女性の16人に1人が乳癌になるといわれています。 さらに他の癌に比べて30歳〜50歳代の女性の罹患率が高く、 家庭や社会において重要な時期であることから、大きな問題と思われます。 乳癌は、全身病としての対応が必要な癌です。このため、手術療法や放射線療法といった局所療法に、 全身療法(化学療法、分子標的治療、ホルモン療法)を適切に組み合わせることが求められ、 高い専門性が要求される疾患です。
  • 手術については、生検と画像診断(マンモグラフィ、超音波、MRI)から乳癌の広がりや性質を診断し、手術術式、 すなわち@乳房切除か乳房温存手術か、Aセンチネルリンパ節生検か腋窩リンパ節郭清かを、 患者さんの理解と十分な相談のうえで決めていくようにしています。
  • 全身療法については、癌の性格によりゆっくりと進行するものから、非常に速い進行をみるものまであり、 その性格の違いを知ることは極めて重要です。 ホルモン受容体発現、HER2発現・遺伝子増幅、増殖性(Ki-67)に基づいて、乳癌を生物学的に分類し、 さらに再発リスクと治療反応性を考慮して治療方針を決定しています。
  • 以上の治療方針決定は、日本乳癌学会の乳癌診療ガイドラインのみならず、アメリカのNCCNガイドライン、 スイスで行われる乳癌専門医のコンセンサス会議であるザンクトガレン国際会議の推奨治療などに沿って行っています。 なお当院は日本乳癌学会関連施設、乳がん検診精密検査実施医療機関であり、 乳腺専門医である轟木を中心に、乳癌学会認定医2名とともに診療を行っています。

▼ その他(ヘルニアなど)

  • 鼠経ヘルニア、大腿ヘルニア、腹壁瘢痕ヘルニアなどに対する手術を行っています。 最近ではメッシュ(クーゲルパッチなど)を用いた、張力のかからない修復術が行われるようになり、 痛みが少なく入院期間も短縮され、社会復帰が可能となっています。
  • ヘルニアは保存的な治療では治りませんので立った時や腹部に力を入れた時に、 鼠径部(足の付け根)に膨らみがでたり痛みがある場合にはご相談ください。
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